
Benign Prostatic Hyperplasia
前立腺肥大症
前立腺肥大症は、加齢に伴い前立腺が大きくなることで尿道が圧迫され、排尿にさまざまな支障をきたす病気です。50歳以上の男性に多く見られ、年齢とともに有病率が増加します。頻尿、尿の勢いの低下、残尿感など日常生活に影響を及ぼす症状が現れますが、適切な治療で症状を改善することができます。
前立腺肥大症の原因
前立腺は膀胱の下に位置し、尿道を取り囲むように存在する男性特有の臓器です。前立腺肥大症の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、加齢と男性ホルモンの関与が大きいとされています。年齢を重ねるにつれて前立腺は徐々に大きくなり、50歳代で約30%、80歳代では約90%の男性に前立腺の肥大が見られるとされています。ただし、前立腺が大きくなっても必ず症状が出るわけではなく、肥大の程度と症状の強さは必ずしも一致しません。
前立腺肥大症の主な症状
前立腺肥大症の症状は、排尿症状と蓄尿症状に分けられます。排尿症状としては、尿の勢いが弱い、排尿の途中で途切れる、排尿に時間がかかる、お腹に力を入れないと尿が出にくいなどがあります。蓄尿症状としては、夜間に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)、急に強い尿意を感じる、トイレに間に合わないことがあるなどが挙げられます。また、排尿後に尿が残っている感覚(残尿感)や、排尿後に下着が濡れる(排尿後滴下)といった症状もよく見られます。
当院での検査・治療について
当院では、問診で排尿に関する症状を詳しくお伺いし、国際前立腺症状スコア(IPSS)を用いて症状の程度を評価します。エコー検査で前立腺の大きさや残尿量を測定し、尿検査や血液検査(PSA検査)で他の疾患の可能性を確認します。治療は薬物療法が中心です。尿道を広げる効果のあるα1遮断薬、前立腺を縮小させる5α還元酵素阻害薬、膀胱の過敏な収縮を抑える抗コリン薬などを、症状の種類や程度に応じて処方します。薬物療法で改善が不十分な場合は、専門医療機関での手術療法をご紹介いたします。
日常生活での注意点
前立腺肥大症の症状を悪化させないために、日常生活でいくつかの点に注意しましょう。水分は日中に適度に摂り、就寝前の大量の水分摂取やカフェイン・アルコールの過剰摂取は控えてください。トイレを我慢しすぎると膀胱に負担がかかるため、早めに排尿するよう心がけましょう。長時間の座りっぱなしや冷えは症状を悪化させることがあります。適度な運動は血流を改善し、症状の緩和に役立ちます。市販の風邪薬に含まれる抗ヒスタミン薬は排尿困難を悪化させることがあるため、服用前にご相談ください。
こんな時は早めに受診してください
夜間のトイレの回数が増えてきた、尿の勢いが以前より弱くなった、排尿に時間がかかるようになったと感じたら、早めにご相談ください。特に、まったく尿が出なくなった(尿閉)、血尿がある場合は速やかに受診が必要です。前立腺肥大症は良性の疾患ですが、前立腺がんとの鑑別も重要です。当院ではPSA検査(前立腺特異抗原)による前立腺がんのスクリーニングも行っておりますので、50歳以上の男性で排尿に関するお悩みのある方はお気軽にご来院ください。

